送達から期日開始までの時間と例外
証拠保全において、送達は基本的に当日に行われます。相手方は執行官の送達をもって、証拠保全が行われることを初めて知ることになります。
送達についてはどのくらい前に行わなければいけない、ということは定まっていません。しかし、一定の傾向はあるように思います。送達時刻の数字は記録しておらず、統計はとっていないので経験上になりますが、多いのは1時間半から3時間前ほどでしょうか。例えば13時開始であれば11時もしくは11時30分の送達が多いように感じます。
この間隔があまりに長いと相手方に改ざんを行う余裕を与えてしまいます。実際に改ざんを行うかどうかは別として、上記の1時間半から3時間は妥当といえるでしょうか。病院であれば診療の期間や内容にもよると思いますが、通院のみであればさほど診療録も多くないケースがあり、実は3時間あれば改ざんは可能なのではないか、とも思えます。入院も含まれてくると、診療録の量が途端に増えますので難しくなってくるとは思いますが。
反対に短すぎると開始時間になっても相手方の用意がまったくできておらず、13時開始であっても実際に取り掛かったのは14時であった、というように時間が無駄になるケースもありえます。
私の経験では相手方が留守で誰もおらず、送達できたのが開始30分前だった、ということがありました。反対に、送達より前に相手方が証拠保全を行うことを知っていた珍しいケースもあります。公的機関への証拠保全でした。当初代理人が任意の開示を求めたところ、相手方に拒否され「法的手続きを経るのであれば開示に応じる」ということで日程まで示し合わせて証拠保全が行われました。本来の証拠保全の性質とは少々異なりますが、こういうこともあるのだなと感心しながら、また、立ち会った相手方職員の多さに驚きながら手続きに臨んだ記憶があります。