労働事件の基本的な検証物目録

労働事件の証拠保全においては一般的に労働時間を明らかにすることがその目的となっています。これには、単に長時間労働が問題となるケースと違ってパワハラなどは証拠として残りにくい、またパワハラが問題となるような案件はそもそも長時間労働が常態化していて同時に争点となっているケースが多い(注:カメラマン個人の感覚)という理由があると思われます。今回はそこで昨今の動向から、検証物目録によくある項をリストアップします。

1.タイムカード

タイムカードについては「◯時に切るよう指示されていた」などと、実態と異なるケースもあります。しかし、労働基準法により保存が定められていますので、既に写しが手元にあるなどの状況を除けば多くのケースで目録に載る項目です。

2 メール

タイムカードで正確な出退勤時刻がわからない際に有力な証拠となるのがメールです。特に、送信メールは送信時刻がそのままその時間は勤務していた証拠になります。

3. パソコンの使用ログ

オフィスワーク行っていた被災者の場合、パソコンの使用ログ=パソコンに電源が入っていた時間=労働していた時間となります。一般的なWindows、あるいはMacであればログを取得すること自体はさほど時間がかかる作業ではありません。しかし、ログは一定量貯まると古いものから自動的に削除されていくため、場合によっては検証対象期間を外れてしまうこともあります。

4. パソコン上で作成したファイルの作成・更新・アクセス日時

Microsoft Officeをはじめとした、多くのファイルではファイルの他にそれを作成した日時、更新(上書き)した日時、最後にアクセスした日時等のメタデータが残ります。そうした記録も労働実態を示す証拠としては有力なものになりえます。

5. 労働実態、時間を示すその他一切の証拠

労働のみならず、医療でもそうですが、最後に「その他」の項目があることが多いです。たまにない場合がありますが、現場に行ってみたところ、検証物目録には記載がないが大きな証拠になりえるものがあった、ということは少なくありません。その場合は証拠保全手続きから外れた任意のやり取りとなることになると思われますが、その際に相手方が拒否をしてきたケースがあります。

この他にも労働契約書や日報、スマートフォンの記録など、案件に応じて検証物目録の内容は変わってきます。オフィスワークの場合は上記の項目が共通しているようです。項目の細かい話についても様々あるのですが、それはまた別の機会に書こうと思います。