写真の改ざんは見抜くことができるか

証拠保全の現場ではない案件ですが、あるデジタルデータの写真が改ざんされているかどうか、またはどのような改ざんをされているか、という調査が可能かどうかの話をします。改ざんの例としては、写真に写り込んでいる物を消したり、一部を切り取ったり、肌やホクロの修正をしたり、反対に画像を合成したり、といったことなどが挙げられます。また、前提として改ざんが疑われる写真についてはデータで残っているものとします。印刷されたものを見ても処理が甘い改ざんでない限り、それを見破るのはほぼ不可能だからです。

結論から言って、画像データさえあれば改ざんしたかどうかはかなりの程度で見破ることができます。ソフトウェア上で処理を行ってそれがわかることもありますし、写真に記録されているデジタルデータを注視することでわかることもあります。改ざんの種類が写り込んでいる物を削除したり、修正を行ったものであればどこを改ざんしたかについても判明することが多いです。これらはソフトウェア上で画像処理を加えることでオリジナルの写真では決して表れてくることはない特徴が出てくるのです。方法としては何種類かあり、写真によって使い分けます。唯一、極端に画像のサイズが小さいものはそうした処理を行うのが難しいのですが、小さいサイズの画像、というだけで既にオリジナルから縮小された写真になっています。

しかし、改ざんされたかどうかはわかっても、その改ざんについて、具体的にどのような処理を施したかは推測はできても断定はなかなか難しいものです。画像処理というのは原理的に不可逆的な処理がほとんどです(一部のデータ形式では可能です)。例えば、Aという写真にaの画像加工を施してBという画像を作成したとします。その後に画像Bからaの画像加工を差し引いたとしても元のAの写真には戻らないのです。そのため、改ざんが疑われる写真Bからは画像加工の内容aも、元の写真Aも作成することは難しいのです。おそらく、そういったことが可能になるとすれば現段階で顔認識や画像認識が急速度で発達しているAIの技術になるのかな、と思われますが、そもそもAIが復元した画像もまた一種の画像処理、改ざんとも言えます。改ざん前の写真を取得する困難さは技術がどれだけ発展してもしばらくは続きそうです。