電子カルテは改ざん可能である

厚労省が平成11年に打ち出した電子カルテについてのガイドラインの中に電子カルテが備えるべき3要件があります。そのうちの1つ、『真正性』とは『または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること。作成の責任の所在を明確にすること。』とされています。

それによって現在使用されているほとんどの電子カルテにはカルテ記載について修正や削除を行った際にその履歴が残る機能が搭載されています。

一般にそれらは変更履歴、更新履歴、などという名称で呼ばれています。カルテシステムによっては数日後からロックされて書き換えが不可能になるシステムもあるようです。

一見、これで改ざんは不可能にも見えますが、しかし、電磁的記録である限り、改ざんは可能です。大きな組織になるほどそれが難しくなるのは言うまでもありませんが、システムの管理者がもつ権限や、人的要員もありますが、変更履歴を残さず書き換えることは技術的にはまったく不可能なことではありません。

ただ、いざ改ざんを行おうとすれば時間と手間がかかることは間違いありません。そのため、送達から期日開始まで数時間しか猶予がない現在の証拠保全制度もまだまだ有効であると考えます。一方、電子カルテが使われているから証拠保全する必要性がない、ということは間違いであり、なるべくなら続行期日を設けないことも紙カルテの時と変わらず重要であるでしょう。