姫路市でのホルマリン誤注入の事例から

ホルマリン液を生身の患者56人に誤投与、後遺症の男性も 兵庫・姫路の病院

兵庫県姫路市の製鉄記念広畑病院の医師らが昨年7月、内視鏡検査を受けた患者に精製水と誤り、ホルマリン液を投与していたことが13日、病院などへの取材で分かった。誤投与したのは最大で10~80代の56人。

産経WEST(https://www.sankei.com/west/news/161013/wst1610130060-n1.html)より

2年前の事件ですが、追加のニュースがありました。

56人にホルマリン誤注入した医療事故 医師ら書類送検 後遺症が残る患者も 兵庫・姫路市

3年前、兵庫県姫路市の病院で患者がホルマリン液を誤って注入された事故で、警察は、医師らを書類送検しました。

Yahooニュース(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181121-00010003-asahibcv-l28)より

業務上過失致傷で書類送検。刑事事件として立件されたということになります。56人という被害者の数も含め、過失の度合いが甚だしいと警察が判断したのでしょう。

医療事故で刑事事件にまで発展するケースは珍しいと思われます。私は刑事事件として医療過誤が報道される数を全て把握しているわけではありません。しかし、裁判所で扱う医療事件は年に800件ほど。(「医事関係訴訟委員会について」 http://www.courts.go.jp/saikosai/iinkai/izikankei/index.html)。それに比べると刑事事件に発展する事件は少ないと言えます。もちろん、裁判所に起こされた事件は過失はなかったと判断されることもありますが、一方で提訴前に和解で終わったり、患者側の感情から司法に訴えないことを選択する場合もあるでしょう。総合的に鑑みて、医療過誤については刑事事件よりも民事事件のほうが多いと言って過言ではないかと思われます。

このバランスの是非については色々と考えるべきかとも思います。例えば、刑事事件をもっと多くすべきという意見もありあえますし、一方で刑事事件を多くすることで医師が治療に際し現場で萎縮してしまう可能性もあります。

今は医療過誤については情報公開制度も報告制度も整備が進んできました。完璧ではないとしても、一昔前に比べれば大きな進歩です。その中で、患者がしっかりと権利を主張、また納得でき、過失から被害者になった際にはしっかりとした救済がある社会になれば、と思うのみです。