彦根市立病院、腹腔鏡手術の事例

昨日のニュースにこのようなものがありました。

腹腔鏡手術後に男性死亡 滋賀・彦根市立病院

滋賀県彦根市立病院で2016年、同市の60代男性が腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた際、腸の動脈が切れて大量出血し、その後死亡していたことが27日、市への取材で分かった。病院側は医療事故と認め、遺族に賠償金約2900万円を支払う方針。(日経新聞「https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34656350X20C18A8AC8000/」より引用)

腹腔鏡手術のリスク自体は別として、証拠保全の案件ではたまにある案件です。このような場合は通常のカルテ以外に手術中の映像などが残されているケースがあり、貴重な資料となります。本案件でも

病院は医療事故調査制度に基づいて原因などを調査。(同上)

とあるため、映像その他の資料が残されていた可能性はあります。しかし、本件で気になるのは患者側の訴えがどこまであったのかが不明な点です。報道を読む限りでは病院から自発的に事故を認め、遺族に損害賠償を支払うような書き方になっています。また、別媒体では

病院は、手術そのものに「医療ミスはなかった」としているものの、高度肥満の男性患者に対して、腹腔鏡手術で死亡のリスクがあることを十分に伝えていなかったなどとして、遺族に損害賠償金およそ2800万円を支払うことで合意したと発表しました。(Yahooニュース「https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180827-00010005-bbcbiwakov-l25」より引用

とあり、手術器具での出血は否定し、インフォームドコンセントを十分に行わなかったために患者が治療に関する決定権を持てなかったことを損害賠償の根拠としています。

もちろん、これはあくまで病院当事者の見解と賠償額であり、司法にその決定を委ねた場合は全く異なる結果になる可能性が十分にあります。とはいえ、当事者が合意に至ったということで本件についてはこれ以上の情報は報道では出てこなさそうです。案件の詳細は外部団体にいずれ報告されると思いますので、そちらで具体的な経過を知りたいところです。